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オバマの医療皆保険はウソだった

国際労働運動の7月号より転載しますhttp://www.zenshin.org/com/ilm_back_no/ilm_407.htm#a6_1

世界経済の焦点

 オバマ政権の医療保険改革

皆保険制度を放棄/保険会社中心の制度のまま

3月下旬、オバマ政権の医療保険制度改革法が成立した。

報道各紙は一斉にオバマ政権が「国民皆保険制度」を達成と報じた。

この改革がはたして「皆保険」といえるかどうか、アメリカ医療保険はいかなる意味を持つのか、検討してみたい。
 

まず、今回の改革の主な内容は、次の表のようになっている。
 

Photo

(図 米国人の保険加入状況【2008年】)

この改革で民間医療保険加入が2600万人。全体で3100万人が医療保険に加入すると見られる。

この改革を検討するため、アメリカ医療保障制度の現状から見ていこう。

 □膨大な無保険者と保険会社の利益

アメリカでは、4600万人以上が無保険者だ。

また、一部しかカバーされない不十分な保険加入者も2500万人。

ある推計では、2000年以降6年間に13万4000人から16万5000人が無保険のために死亡した。

別の調査分析では年間5万5000人が無保険のため死亡したという。

それは肝臓病の死亡者より多く、死亡率は保険加入者より40%も高い。

この無保険者の多くがワーキングプアだ。

職を失い、保険も失う。新たな職を得ても中小企業が多く、非正規職や契約・派遣社員などだ。

保険が無かったり、保険料が高すぎたりで、多くの人が保険加入を断念しているのだ。
 

他方で、民間医療保険の保険会社は膨大な利益を上げている。

医療保険部門の1位と2位が、世界ランキングで21位、32位を占め、マイクロソフトやボーイング社より上位だ。

大手10社の純利益は2000年に2000億円だったものが、2007年には1兆200億円、428%増だ。

大手10社のCEO年収合計は107億円だ。

 □働き盛りに公的医療保障がない

アメリカの公的医療保障は従来、高齢者対象のメディケア、低所得者児童対象のメディケイドに限定され、働き盛りは民間保険、なかでも企業雇用者提供保険が大きな位置を持つ。
 

メディケアとメディケイドは1965年に創設されている。
 

メディケアは連邦政府の運営。65歳以上の高齢者、65歳未満の一定の障害者、腎臓病患者が対象。加入者は4100万人以上。

入院を中心する強制加入のパートA。

医師サービスが中心の任意加入のパートB。

パートA加入者のほとんどがパートBにも加入している。

また民間保険プランから受給できるパートC、外来処方薬をカバーするパートDがある。
 

メディケイドは、低所得者世帯の子どもと親を対象とする医療扶助だ。

受給者は4000万人。

8割が児童とその親である。

実施主体は州政府。

連邦政府は州政府に対して、要扶養児童家庭扶助(AFDC)受給資格など、一定の条件を満たす住民にはメディケイド受給資格の付与を義務付けている。

財政は連邦政府と州政府が拠出しあう。
 

要扶養児童家庭扶助(AFDC)とは1935年社会保障法で制定されたもので、扶養児童のいる貧困家庭に最低限の保障をする現金扶助だ。

AFDCとメディケイドの受給資格は連動している。
 

81年以来のレーガン政権は福祉削減・就労促進を掲げAFDCの受給資格を厳しくした。

就労世帯の多くが受給資格を失い、同時にメディケイドも失って健康への重大な影響が出た。

慢性病の人は6カ月以内に病状が悪化した。

AFDCは1996年に解体され、貧困家族一時扶助(TANF)に再編された。

80年代のAFDCからの締め出しと過渡期医療扶助制度の創設は、AFDC受給資格の喪失後も一定期間、メディケイドの受給資格を継続できるとし、「福祉から就労」「公的扶助から民間保険へ」を促進する政策だ。
 

1997年にはメディケイドの補完として、無保険者児童を対象にして州児童医療保険プログラム(SCHIP)が創設された。

メディケイド受給資格ほどでない貧困者が対象だ。

連邦政府が資金を助成し、州政府による無保険者児童への医療の提供を支援する。
 

メディケイドが貧困ライン133%以下の6歳未満の児童と貧困ライン100%以下の19歳までの児童を対象としているのに対し、SCHIPは貧困ライン200%前後までの家庭の児童を主な対象とする。

(参考として、03年の貧困ラインは年間所得で1万4824㌦)。
 

しかし、SCHIPの実態は、州政府が医療保険を民間に開発してもらい、保険料助成などで積極的に民間保険を活用している。

「公的扶助から民間保険へ」が進行している。

 □企業雇用者提供医療保険

働き盛りの大半が加入しているのは企業雇用者提供医療保険だ。

雇用者が民間保険会社と契約を結んで従業員に医療保障を提供するもの。

07年時点で1億7774万人、全国民の6割にのぼる。
 

アメリカの民間医療保険が急速に発展したのは、1940年代の10年間だ。

1940年で1200万人(人口の0・9%)だったのが、10年後には人口の2分の1となる。戦争と戦後の激動期に民間医療保険が急速に発展したのだ。

政府は、雇用者の医療保険給付への税的優遇措置で支えてきた。

この税制優遇措置は今日では毎年1885㌦(1人当たり1180㌦)にのぼる。 

民間医療保険が「命」を食い物にする典型が「アンダーライテング」(保険業という意味)と「マネジドケア」(管理医療という意味)だ。

 □保険会社が医療給付を決めるマネジドケア

アンダーライテングは、加入希望者の健康状態を評価され、問題ありの場合の保険加入の拒否や、高い保険料、給付を制限するとかということだ。

オバマの改革で第一にこの問題が挙げられている。

やはり、保険会社の理不尽さへの怒りが大きいのだ。
 

70年代後半以降、マネジドケアと呼ばれる医療費削減を目的とした民間保険が発展する。

①受診可能な医師(病院)の制限、

②診療報酬が定額払い、

③保険者の医師(病院)に対する審査機能が強いなどの特徴を持つ。

80年代以降、多くの企業雇用者が従来型からマネジドケアに転換した。

現在は企業雇用者提供医療保険の8割にのぼっている。
 

それは、保険加入者と保険会社と医師の間で、医療や介護の提供、その負担について取り決めおくものだ。

医師にはネットワークがあり、医師に顧客の供給を保証する一方で、プランで決められた支払い上限額の中で医療を提供する仕組みだ。
 

最も代表的なのはHMO(Health Maintenance Organization)=健康維持法人といわれるものだ。

保険加入者は月額保険料をHMOに支払う、保険会社は診療内容をあらかじめメニュー化し、医師の治療法・検査・薬を監視しコントロールする。医師がコストを抑えた場合はインセンティブ(報奨・賞)がある。

保険加入者は、HMOに所属した医師にしかかかれない。

ネットワーク内からファミリードクター(gatekeeper)を選び、専門医にかかる場合はこの紹介とプランの承認が必要だ。

保険料はマネジドケアの中で最も低額であるが、保険者の医療の質への関与が大きい。

他には、HMOを緩和したPPO、POSと呼ばれるものがある。

(Health Maintenance Organization)=健康維持法人といわれるものだ。

保険加入者は月額保険料をHMOに支払う、保険会社は診療内容をあらかじめメニュー化し、医師の治療法・検査・薬を監視しコントロールする。

医師がコストを抑えた場合はインセンティブ(報奨・賞)がある。

保険加入者は、HMOに所属した医師にしかかかれない。

ネットワーク内からファミリードクター(gatekeeper)を選び、専門医にかかる場合はこの紹介とプランの承認が必要だ。

保険料はマネジドケアの中で最も低額であるが、保険者の医療の質への関与が大きい。

他には、HMOを緩和したPPO、POSと呼ばれるものがある。

 □階級的労働運動の前進が求められている

このようにアメリカの医療保険制度では、1億7000万の労働者の「命」を保険会社が握り、トコトン収奪の対象とし巨額の利益を得ている。

また、医療保険の中軸が戦争と戦後激動期のなかで民間保険として形成されたことも注目すべきことだ。

4600万人の無保険者の問題は、最末期帝国主義の破綻の問題である
 

オバマの医療保険改革は、その破綻を取り繕い、資本主義を救済しようとするもので、断じて皆保険などではない。

その改革の中身は、アンダーライテングに規制をかける一方で、無保険者には課徴金をもって民間保険加入を義務づけている。

労働者は新たな負担で保険会社を儲けさせ、受けられる医療はマネジドケアだ。

その民間保険会社は巨大資本そのものだ。

労働者の命まで食い物にして成り立っている。
 

それゆえ、アメリカ医療保障の問題は、アメリカ労働者階級によるプロレタリア革命の問題だ。

公的で一元的な医療保険制度をめざす人たちは今回のアバマ改革で落胆していると言われているが、問われているのは労働者階級の階級的団結の力だ。
 

今回の改革に対しても、反動的な反対運動が起こった。

そこで際だつのは「社会保障は社会主義」「社会主義反対」というものだ。

社会的連帯とか、社会性のあるものは、ことごとく「社会主義反対」という非難が浴びせられるのだ。

このことは医療保障問題の根本は「革命」の問題であることを反動の側から突き出している。
 

アメリカ社会保障は歴史的に3波にわたって形成されてきた。

30年代のニューディール期の社会保障法、第2次大戦後の企業年金、公民権運動期のメディケア・メディケイドと、階級的激突が果敢に闘われた時期と重なっている。
 

04年MWM(ミリオン・ワーカーズ・マーチ)において、医療保障問題が労働者の切実な要求として掲げられた。

90年代以降、新自由主義の吹き荒れるなかで、新たな、闘うランク&ファイルの運動は、医療保障要求を大きなテーマとして掲げている。

アメリカの階級的労働運動の大前進が求められている。
 (富田五郎)
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 医療保険改革の主な内容

・ 民間保険会社への規制を強化(既往症による保険加入拒否の禁止、・ 民間保険会社への規制を強化(既往症による保険加入拒否の禁止、 不合理な保険料設定の禁止)

・低所得者層に対する医療保険料控除の制度を州政府ごとに創設。個人に医療保険加入を義務づけ

・事業主に従業員の医療保険への資金拠出を義務付け。保険料負担税額を控除

・高額な医療保険への課税

・ 政府提供医療保険のメディケア(高齢者向け)、メディケイド(低所得者向け)を効率化し財政における医療費の伸びを抑制。

・ 政府提供医療保険のメディケア(高齢者向け)、メディケイド(低所得者向け)を効率化し財政における医療費の伸びを抑制。

 すぐに導入されるものは

①重い疾患を理由に、被保険者を除外することはできない。

また保険会社の負担増を理由に治療に上限をもうけることはできない。

②26歳の誕生日までは親の医療保険に扶養家族扱いで含めてもらうことが可能。

③予防のための医療支出は保険会社が全額負担。

但し、既存の医療保険に関しては2018年までこの義務は猶予。

④従業員25人以下、かつ平均給与が5万㌦以下では、企業が提供する医療保険の保険料コストの35%までを税控除。

⑤被保険者と保険会社が医療保険の払い戻しに関して論争になった場合、政府のオンブズマンが調停に入る。
 

2014年から導入されるものは、

①年間所得3万㌦以下の家庭はメディケイドが医療保険を提供。

3万㌦以上8.8万㌦以下の家庭は医療保険に加入することを義務づける。

保険負担が年間所得の3%を越える部分は政府が税控除などで支援。

②医療保険に入ることを拒むものには、年間所得の1%ないし95㌦のうち多い方の金額の課徴金を課す。

③2014年以降、保険会社は既往症のある被保険者を拒否できない。

それまでの暫定措置として既往症のため保険に入れない国民には「疾病にかかるリスクの高い被保険者のための基金」を国に設置して支援する。

④現在すでに医療保険を提供している企業や医療保険に加入している個人については今回の医療保険改革法は適用除外。

⑤財政については、年間所得20万㌦以上の納税者に対して2013年から3.8%の増税を実施する。

GDP世界一の国で 4600万人が医療保険がなく

毎年医療保険がなくて死ぬ人が5万5千人という

戦慄すべき実体だ

日本も まもなく こういう状態にころげおちていく

新自由主義 この非人間性に怒りを爆発させ 

生きさせろ の階級的労働運動路線に全力を注ぎ込もう

最後までご苦労様

8・6広島が近いので 

美空ひばり の 1本の鉛筆http://www.youtube.com/watch?v=XSI-h2xKow0

では お休みなさい 

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投稿: 宝の山 | 2010年7月30日 (金) 01時24分

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